特別対談-3「学ぶ人×教える人」|卒業生の声|製菓・菓子・パティシエの専門学校。お菓子作りやパン作りの専門性を徹底的に深めるカリキュラムを展開。 - 東京製菓学校 -

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特別対談-3「学ぶ人×教える人」


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佐々木 元さん
マテリエル(板橋・大山) |洋菓子本科2011年卒業
「このお店に入ったら、"間違いなく伸びる"。原点に帰って、ちゃんとしたお菓子づくりを学びたい。」
東京製菓学校卒業後、都内有名店で修業を重ね、世界への登竜門となる洋菓子コンクール『内海杯』で優勝、フランスで行われた『シャルル・プルースト』世界大会に日本代表として出場、準優勝の経験を持つ。2017年から林シェフを慕って現職に就き、さらなる修行の日々に勤しむ。

林 正明さん
マテリエル(板橋・大山)|オーナーシェフ
「専任の先生が基礎を、外部講師が現場の空気を伝える。東京製菓学校は、"棲み分けができている" 手が抜けない学校。」
ワールド・ペストリー・チーム・チャンピオンシップ世界大会 日本代表、クープ・デュ・モンド・ドュ・ラ・パティスリー世界大会日本代表チームキャプテンなど、日本を代表するパティシエとして活躍。東京都洋菓子協会公認指導員も務める。ちなみに、林シェフ自身も東京製菓学校の卒業生。



--マテリエルに入ったきっかけは?
 僕は自分の腕を磨きたくて、いろいろなコンクールに挑戦してきました。少しずつ賞を獲り始めて「もっと上手くなりたい」って考えていたとき、林さんに教えを請いに伺ったのが入社のきっかけ。優勝したら日本代表として『シャルル・プルースト』という著名な世界大会への出場権が得られる国内コンクールで『内海杯』というのがあるんですが、そこで優勝することができて。そのときに林さんにひと言いただきまして。

 そうだっけ? 何て言ったかな。覚えてない。

 あえて教えませんけど(笑)、それがすごく嬉しくて。もともとステップアップのために次のお店を探し出した頃でいろいろなお店に足を運んでいて、なかでも林さんのケーキが一番美味しいと思ってました。「自分でもこんなケーキをつくってみたい」と。それで、世界大会に向けて準備に入ったとき、アドバイスをいただきに伺ったんです。林さんからも直接「作品見せに来れば」って声をかけていただいていて。自分も林さんに見てほしかったからすごくありがたくて...何か、あらためて言うと恥ずかしいですね。

 「・・・・・・・・・・・」(笑)

 とにかく、アドバイスは全部「おおっ!」て思うことばかりで。世界大会本選での最終順位は実力及ばず2位でしたが、林さんのおかげで味の部門では1位が取れまして。その後で僕から「お店に入れてもらえませんか」とお願いしたんです。

 コンクールが終わったあとだっけ?

 そうです。結果の報告に伺ったその日に「林さんのお店で勤めさせてください」って。

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--すんなり決まったんですか?
 いや、やめたほうがいいって言いました。「うちみたいな変な店はやめとけ」って。決まったレシピがあって、決まった仕事をして、それをお店に出して、というスタイルのお店じゃないんでうちは。えーと、佐々木はチャンピオンだっけ?

 2位です。分かってて聞いてますね(苦笑)

 彼が世界大会に出場したときは、まだ26歳。これからが一番伸びる時期だと思ったんです。優勝したら天狗になっちゃうけど、2位だったからリベンジで、次のコンクールも出たいだろうし。僕も2位が多かったからわかるんですよ。「悔しい、また出るぞ」と思っているだろうと。で、うちみたいなお店だと仕事も小忙しいし、コンクールもやりづらい。佐々木はアメ細工で結果を出してきたので、「もっとコンクールがやりやすい大きいお店やホテルがいいんじゃない?」ってね。でもこの人、言うこと聞かないんだもの。「いや、もう絶対お願いします」って。「1回原点に帰って、ちゃんとしたお菓子づくりを学びたいんです」と。しっかりとした考えがある子だったので、「そうか。じゃ、わかった」と。その代わり楽じゃないよと。

 僕にとってはリセットというか。たいして実力もないのに、変に名前だけが先に出ちゃったんで。「このお店に入ったら間違いなく伸びる」「林さんの元でやれば間違いなくレベルは上がる」と思っていたので、迷いはありませんでした。

 店の商品は、最初に僕が試作して味を決めレシピを書きますが、その時点で最良のものでも、仕込んでいくうちに「ここをこう変えたらもっとおいしくなるんじゃないか」という思いが必ず出てきます。"味づくりに終点はない" とか "職人は一生勉強だ" とかよく言われますが、洋菓子の世界は日々の進化が激しいですし、何年も同じことをやっていては、たちまち古い印象を与えてしまいます。一度決まったものをさらに良くするのは大変な作業ですが、それを佐々木やすべてのスタッフにお願いしています。毎日少しでも良くなっていかないと嫌なので。半年後にまだ同じやり方でやっていたら、僕は叱るんです。「まだ同じことばかりやってるの?」「日々良くしていってくれ」と。若いと引き出しも少ないし、技術的にできないこともたくさんあるけど、僕がそう言うことで「自分で考えて仕事することが身につく」。段取りとかも含めて全部任せて、細かく指示しない。みんなで考えて話し合って、それで売上が上がったり、お客さまが増えたり、ケーキが美味しくなったりと、自分たちで結果を出して、喜びを感じてもらいたい。

 それ、愛情ですね。

 そうだよ(笑)。いつまでもうちの店にいるわけじゃない。次のお店で "ヒーロー" になってもらいたいんです。「やるなお前」って言われてほしいじゃないですか。

 そう言われるように頑張ります。

--林さんから見た東京製菓学校の印象は?
 毎年、外部講師として行かせていただいています。東京製菓学校は、学生の質、カリキュラム、そして専任の先生方の意識レベルと質の高さと、どれをとっても「学校としてちゃんとしてる」印象。基礎的なレシピまで外部講師に頼る学校や、昔のレシピを変わらず続けてる学校もあるなかで、東京製菓学校はきちんとアレンジしている。

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「伝統は保ちつつ、常に進化させていこう」みたいな "イズム" を感じます。いつも、「オリジナルを」とお願いされますし。基礎を教えてくれと言われたことは一度もありません。スペシャリテとか「林さんの好きなものをやってください」と。棲み分けができていますよね。専任の先生が基礎を、外部講師が現場の空気を伝える、みたいな。だから、逆に手が抜けない。まあ、自分がいい仕事をしないと感動を与えられないですよね。「若い人相手だから」と手を抜いたら、すぐわかってしまうし、この職業に対する価値が薄れてしまうと僕は思うんで、いつも「自分のマックスを見せてやろう」という思いで臨んでいます。アメ細工のデモンストレーションでもケーキでも「時間ギリギリだけど、ここまでいける」というメニューを組んだり。後で「学生時代はよくわからなかったけど、あれはすごかったんだな」と思ってもらえればそれでいい。パティシエは素晴らしい仕事なんだってことが伝わって、辞めずに続けられるきっかけになれば、と思っています。



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matériel (マテリエル)
林シェフがオーナーを務めるパティスリー。
美味しくも美しいケーキの数々に、思わずため息。
東京都板橋区大山町21-6
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