ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」に続き、2022年10月に和菓子の "華" とも言われる上生菓子が『菓銘を持つ(季節の)生菓子』として、文化庁の登録無形文化財に認定されました。自然素材を使う、ヘルシーである、見た目が美しくかつ美味しいetc...。さまざまな理由で和菓子が世界中の人々の関心を集めています。本校でも韓国・台湾・中国など東アジアをはじめ、シンガポール、マレーシア、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカなどから和菓子を学びたいという留学生が増え、日本人学生たちとともに学んでいます。また、和菓子を学んだ日本の学生が、海外でその技術を試したいと世界へ羽ばたいていくケースも数多く出てきています。このように、グローバル化が進む『WAGASHI』。本校では、和菓子に特化した教育で、伝統的な和菓子からトレンドを反映した最新のものまで、和菓子のすべてを学び、世界に誇れる和菓子職人を育んでいます。
未経験者でも安心して取り組める、実習重視のカリキュラム。さまざまな和菓子をつくる体験を重ねることで、必要なスキルを手で、身体で覚えていきます。饅頭などの蒸し菓子類から焼き菓子、平鍋菓子、上生菓子、流し物菓子、餅菓子といったベーシックな和菓子を材料や製法を変えてつくってみる実習や、冠婚葬祭などに用いられる引菓子や春夏秋冬の半生菓子、芸術作品としての工芸菓子、創作研究など、2年間であらゆる和菓子づくりを幅広く経験することができます。
餡をつくる(製餡)こと。そして、餡を包む(包餡)こと。このふたつは「餡に始まり、餡に終わる」と言われる、和菓子づくりの基本です。製餡と包餡の技術をしっかり修得することで、確かな品質の和菓子をつくることができます。本校では、これらの作業を実習の中で毎日くり返し練習し、身につけます。温度や湿度など日々の環境変化にも対応できる製餡のスキル。スムーズかつ見た目も美しく仕上げる包餡のスキル。何度も失敗し、やり直し、高いレベルの技術を修得する。だから、卒業後すぐに現場に対応できる実践力につながります。
経験こそ、現場に出たときに支えとなる。2年間、和菓子に専門的に向き合い、さまざまな種類の和菓子づくりをこなせる本校なら、将来どんな場面でも対応できる地力と自信が身につきます。1年次の基礎段階はていねいに、正確につくることを覚え、徐々につくるスピードもレベルアップ。2年次ではすでに修得した基礎技術をベースに、さらにハイレベルな和菓子づくりにチャレンジ。社会に出る頃には、現場経験数年分の経験値が自ずと身についているのです。
「本物の素材を使って、本物のおいしさを覚える」。とくに和菓子科がこだわりを持っているのが小豆。こだわり抜いた小豆には旨みが凝縮しており、そこにしっかりとした製餡の技術が伴えば、本物の和菓子をつくることができます。実習で用いる素材の一部では、国内最高級とされている丹波産の大納言にこだわり、その味わいを探求します。また、実際に丹波に出向き、生産者の方々と一緒に収穫も体験します(和菓子本科のみ)。複雑な製餡理論に活きた授業から得た本物の素材が加わって、技術者としての幅が広がっていくのです。
高いレベルでの繊細さと緻密さ、美的意識が要求される工芸菓子。高い芸術性が求められ品評会でもその技術が競われています。技術者としての総合力の向上と創作力の育成を目指し、本校では約1カ月かけてじっくり学び、最終的には2年間の技術と知識の集大成、卒業制作として制作します。ちなみに、本校専任教師の作品は内閣総理大臣賞などを受賞し、内閣府にも飾られています。