本校の専任教師チームが再来年1月にイタリアで開催される予定のパンの世界大会を目指して、日本代表を決める最終選考会に出場しました!普段は優しく技術を教えてくれる先生たちですが、一人の職人として「世界」に挑む姿。 その真剣勝負の内容を、少しだけご紹介します。
今回、本校の先生たちが挑戦したのは、美食の国・イタリアで開催される[第7回 SIGEP BREAD IN THE CITY BAKERY WORLD CUP]日本代表選考会で、先日本校の在学生たちがチャレンジした技能五輪国際大会最終選考会と同じ、インテックス大阪 FABEX関西2025の特設会場で11/27(木)・28(金)にかけて行われました。
この大会で優勝したチームだけが、2027年にイタリア・リミニで開催される世界大会への切符を手にすることができます。この厳しい選考会に参加したのは、パン科 石川 光治 先生(右側)と洋菓子科 岡藤 光輝 先生(左側)のチーム東京製菓学校です!
11/28(金)まだ夜の気配が残る薄暗い早朝6:56、予定を4分繰り上げて作業はスタートしました。前日に設けられた1時間の事前準備では、少し気持ちが先走り、細かなミスをしてしまった部分もあったようでしたが、その反省を翌日の本番には即座に修正して、開始から1時間を経過した頃には、2人は平常心を取り戻している様子でした。
綿密に組み立てたタイムスケジュールに沿って、実にリズミカルに、まずは順調な滑り出しで作業は着々と進んでいきました。石川 先生のスピーディーで無駄のない動きと、岡藤 先生のパティシエならではの細やかで正確なテクニック。それぞれがベーカリーとパティスリーの現場と、後進を育てる教育の場で培ってきた経験を存分に活かし、審査のタイミングを見計らいながら徐々に製品がその姿を現してきました。
岡藤 先生はパティスリーでの経験だけでなく、渡仏時代にはレストランで料理にも携わってきたスペシャリストです。その確かな力と幅広い対応力を求めて、石川 先生が声をかけ今回のチーム東京製菓学校を結成。岡藤 先生にとって、こういったタイムトライアル形式のコンクールは今回が初めての挑戦ではありましたが、改良に改良を重ねて、この日のためにしっかりとトレーニングを積み上げてきました。パンづくりの現場ではあまり目にすることのない、その繊細なテクニックで、審査員やギャラリーの方々の視線を釘付けにする場面も。
先日のパン科在学生が出場した技能五輪国際大会最終予選と同様に、こちらも直前まで場所もオーブンなどの使用できる設備も、どのメーカーのどんなものになるかわからないという状況下で、前日の事前準備1時間、当日作業時間は休憩なしの8時間、制限時間以内に16品もの課題製品をつくり上げるという非常に過酷なコンクールです。
審査される16品のメニューは非常に多岐にわたります。食事パンは、イタリアの代表的なパンであるチャバッタや、栄養価を考えたパン、酵母を使ったパンなど。クロワッサン生地でつくるヴィエノワズリーや、フルーツをつかったタルト、調理系のパンやピッツァ(マルゲリータ&創作)、サンドイッチ、料理としてのタルトなど、パンだけではなく料理やお菓子の領域にまで技術と知識が求められます。
作業時間は8時間ですが、最終的にすべての製品が出揃えばいい訳ではなく、実は製品の部門ごとに提出時間が決まっています。審査は出来上がったそばから、その場で一つひとつのサイズや重量など、細かな点まで順次チェックされていきます。製品としての出来映えや見た目の美しさだけでなく、香りや製品の内層、そしてもちろん味。さらに伝統的や独創性といった、製品ごとに設けられたテーマにマッチしたのもかどうかも大事な要素です。
刻一刻と差し迫る制限時間、削られていく体力、厳しいプレッシャーとも戦いながら、なんとか順調に進んでいるように見えた中盤。想定していた以上のトラブルに見舞われ、制限時間超過により審査対象外となってしまった製品が出てしまう事態に。
今回はタイムトライアル形式のコンクールという特性上、例えどんなに手の込んだ良い製品をつくり上げたとしても、制限時間に間に合わなかった場合は審査員に採点されることはありません。
それでも諦めることなく、最終的になんとか課題の全種類をつくりあげて、プレゼンテーションまで終えることはできたものの、残念ながら中盤の減点による大きなロスを最後まで取り戻すことはできず、今回チーム東京製菓学校は日本代表の座を獲得することができませんでした。
課題が発表されてから約2カ月。今回のチャレンジにこれまで職人として培ってきたすべてを賭け、試行錯誤を重ねながらここまで積み上げてきた経緯を知っているだけに、2人の表情からその悔しさが痛いほど伝わってきました。
私たち東京製菓学校が大切にしているのは、お菓子やパンが好きという気持ちを、将来にわたってずっと支え続ける確かな技術に変えること。今回の先生たちの挑戦は、まさにそれを体現しているといえます。教師として教える立場になってもなお、技術を磨き、新しいおいしさを創造し、世界に挑戦し続ける。 そんな一生モノの仕事の素晴らしさを、この大会を通じて学生たちやこれからこの道を目指すみなさんに感じてもらえたら嬉しい限りです。
そして、こんな熱意ある先生たちから直接お菓子・パンづくりを教わってみたいと思った方は、ぜひ体験入学・オープンキャンパスに遊びに来てみてください。みなさんの「好き」を仕事にする第一歩、私たち東京製菓学校は全力でサポートします!

















