2012 04/26
和菓子ヒストリー『ちまき』
端午の節句の祝い菓子といえば関東では「柏餅」が一般的ですが、関西では圧倒的に「ちまき」が主流です。
先日、ちょうど和菓子本科2年生の授業でつくっていましたので、今回はその「ちまき」について少しご紹介します。
「ちまき」は上新粉と餅粉とを合わせてつくった生地を熊笹の葉で包み、い草でぐるぐると巻いて蒸したものです。
こちらの「ちまき」は中国からのもので、紀元前の中国は楚の国に屈原(くつげん)という政治家がいました。当時の王の信頼を得て、若くして政治家として手腕を発揮していましたが、その活躍ぶりから周りの者から妬まれ、足を引っ張られて政治家を退き、詩人となり、その後の国の行く末を嘆き、62歳の時に川に身を投げてしまいました。
人々は悲しみ、彼の命日である5月5日には竹の筒に米を入れて川に投じ、霊に捧げました。しかし、それを川に住む竜が盗んでしまうので、米を「おうち」(ぜんだん)の葉で包み、糸で縛って捧げるようになりました。「おうち」の葉は香りがあって竜が嫌っていたらしいです。
今も旧暦5月5日の屈原の命日には、中国の人々はその供養をし、「ちまき」を食べる習慣が残っているそうです。
日本に伝わったのは平安時代。
宮中での端午の儀式に使われるようになり、以後関西を中心に全国に広まったと言われています。
「ちまき」には2000年もの間、屈原の国への貢献を賛え、その死を悼む中国の人々の、感謝の心が込められていたのです。