2011 05/20
「響き」で和菓子を楽しむ 10.生活用品
〔生活用品〕
生活の中で使われる小物類が和菓子の名前に付けられているというのは何だがおもしろいですよね。
昔の人々の生活に密着した、日本情緒あふれる物が多いようです。
○ 扇…扇はあおいで使うだけでなく、縁起の良いものとされていて、年始等の祝賀の贈り物にも使われていた。また、扇には四季の草花や古典文学の一場面が描かれているものも多く、感性が和菓子の世界と共通しているため表現しやすい。「花扇」や「清流」など、いろいろな名前が付けられる。


○ 袱紗(ふくさ)…袱紗は、茶道で茶碗などを清めたり、祝儀などの折に金封を包む布のこと。袱紗が2枚の布を重ね合わせてつくられることから、2種類の材料を合わせてつくった料理や菓子にこの名前が使われたりする。「つやぶくさ」は小麦粉と卵でできたシンプルな菓子で、気泡によってふわふわしたスポンジのような生地になる。抹茶などで緑色にすることが多く、やわらかな布をイメージすることろからもこの名前が使われるようになった。
○ すだれ…今ではほとんど見かけなくなったが、昔はどこの家にもあったもの。「青すだれ」「夏すだれ」「玉すだれ」などの名前がついた和菓子は今でもつくられている。夏の暑さをやわらげるすだれなので、和菓子では錦玉羹で涼しげに演出されることが多い。
○ つば…ポピュラーな和菓子である“きんつば”や“芋きんつば”の“つば”は、刀の柄と刃の境目にはさむ金属製の丸い小さな盤のこと。これに形が似ているところからこの名前がついた。現在のきんつばは四角い形が多いが、本来の形はやはり丸型だったようだ。

