基礎の製菓理論や、実習時のノートは
今でも参考にするほど役立っています
後藤 ゆかり さん(旧姓:近藤)
和菓子専科2012年卒
菫花堂(きんかどう) 経営
祖母が茶道を習っていたこともあり、子供の頃から和菓子に親しんでいました。大学を卒業後、紅茶専門店で働きながらも起業を考える中で、これまで扱ってきたおいしいお茶と、自家製で本当においしい和菓子を組み合わせて販売したいと考えるようになったことが、和菓子業界を志したきっかけです。
東京製菓学校の授業は夜間部でも実習が多く、幅広い種類のお菓子の製造を網羅しているので、とても実践で役立ちました。基礎の製菓理論や、実習時のノートは今でも参考にするほど役立っています。全く新しいお菓子を考えてつくるときも、やはり頼りになるのは基本です。
在学中は先生方をはじめ、洋菓子科・パン科、昼間部・夜間部の学生も隔てなくコミュニケーションが取れたので、視野を広く持つことができたと感じています。学校からアルバイトを紹介していただける「アシステム」の制度も活用して、昼間のアルバイト先を見つけていただけたり、校内に掲示されていたコンテストに応募して優秀賞を取ることができたりと、とても充実した時間を過ごすことができました。
私は卒業後、在学中にアルバイトさせていただいていた和菓子店にそのまま就職しました。朝生と呼ばれる日持ちのしない当日売り切りの生菓子を中心に、平鍋ものや焼き菓子など、お店でつくる全ての商品に携わることができました。また、在学中のコンテストでの受賞を受けて、その時の作品をお店で販売させてもらったり、商品開発に携わったり、暖簾分けしたお店を見学させてもらうなど、自分が起業にあたって役立つ経験をたくさん積ませていただき、とても感謝しています。
最初にお世話になった工場長は、優しく朗らかな方で、考え方や働き方について改めて考えるきっかけを与えてくれました。ただ頭ごなしに厳しくするのではなく、リラックスして、働きやすい環境を考えながら、一緒に学び続ける姿勢は、生涯私のお手本です。
実は一度身体を壊してしまい、職場から退かざるを得なくなった時がありました。その時は、自分のキャリアがついえてしまったと感じ、かなり落ち込みました。しかし、起業をしたいという気持ちは新卒の頃から微塵も変わらなかったので、その先のキャリアが思い描いていたものと違っても、全て自分の糧にする覚悟でいろんなことにチャレンジしていきました。
先輩方も多く在籍されている、プロの和菓子職人さんたちの団体である東和会や日本菓業振興会の月例会に参加させていただき、新しいレシピや他の方の作品を拝見したり、実際に自分も作品を出品することで、技術を深める助けにもなりました。
また、これまで他業界との繋がりも積極的に持ってきたので、友人とお菓子とことばの展示「おしゃべりな和菓子」展を開催して関連冊子を自費出版したり、「抹茶ラテアート大会」での菓子販売をしたりと、自身の行動の幅も広げることができました。
産休中もインスタグラムにて「菫花堂」のアカウントを開設し、お菓子の研究を投稿していくことでたくさんのフィードバックを得ることができ、それが今のお菓子づくりに直結しています。お店ではとにかく実践なので、学校に通って落ち着いた場所で、製菓理論を学ぶことが出来たのは財産だと思います。
実は、昨年約10年ぶりに東京製菓学校が毎年夏に行なっている、卒業生向けの技術講習会に参加させていただきました。その時に同期と再会し、それをきっかけに繋がりがより一層強くなりました。近い将来、同期のみんなで催事を行なうことを目標に、これからも頑張っていきたいと思います。
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東京製菓学校を卒業後は、在学中からお世話になっていた老舗和菓子店での製造を5年半ほど経験、その後は日本茶専門店の店長に転職。出産を経て復職後は仕事の傍ら、世界初の「抹茶ラテアート大会」にて抹茶蒸しどらを販売し、好評を得る。コロナ禍を準備期間として、2023年7月東京・三鷹市に念願の自店「菫花堂(きんかどう)」をオープン。コンセプトは「ちょっといいことがあった日のおやつ」。和菓子の要素をベースに、既存にとらわれない菓子を製造・販売を行なっています。和菓子職人として、そして母として、後藤さんのこれから益々の活躍を楽しみにしています!
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[Shop Data]
菫花堂(きんかどう)
住所:東京都三鷹市下連雀4‐1‐5
電話:0422-24-6194
営業時間:11:00-17:00
定休日:月・火・水・日
※Webページ&オンラインストアが開設されました!
https://www.kinkado.jp/